レッスンをがんばっていらっしゃるピアノ教室の先生方へ
いつもレッスン、ごくろうさまです。
レッスンで、なんとなく生徒ちゃんのやる気がなさそうだっていうときありませんか?
疲れているのか?レッスン前にお母さんに怒られちゃったのか?、それとも、なにか他に考えていることがあるのか?…。
いずれにしても、ボーッとして先生の話を聞いていないときってありませんか?
そんなとき「ちゃんと話聞いて!」と叱ったところで、かえってやる気をなくしてふて腐れてピアノを弾いてしまうことも少なくありません。
このような場合、先生はどうされますか?
音楽の神様?
私はこんなとき「音楽の神様」にお願いして出てきてもらっています。
ん?
音楽の神様?…
???
どういうことかよくわからないですよね(苦笑)。
実は、こういうことなんです。
音楽の神様登場
(生徒ちゃんが、ボーッとしていたり集中していないとき)
突然、生徒ちゃんのほうを向くのではなく、教室の奥のほうの天井あたりを見つめてこう言うんです。
「えー!!(めっちゃ驚く)、なんか来たわ…。 あ!、音楽の神様ありがとうございます」
そう言って、教室の奥のほうの天井あたりを見つめながら手を合わせます(拝むような感じですね)。
そして、生徒ちゃんにも「ほらほら、〜〜ちゃん(生徒の名前)も手を合わせて」と言います。
とりわけ、音楽の神様にはじめて来ていただいた(!?)生徒ちゃんの場合には、こうも伝えます。
「あれ?、〜〜ちゃんはじめてだったっけ?はじめてだったね。ちゃんと、手を合わせようね」
当然、私が見ている方向に神様の姿は見えません。
だけど、生徒ちゃんは、素直に手を合わせるんですね(かわいいですよね)。
なんでこんなところにサイコロが!?
ちなみに、このときお母さんがレッスンに付き添われている場合、お母さんが笑ってしまわれることがあるんですね。
そんなときには、マジメな表情でお母さんにこう言うんです。
「お母さん笑ってはいけませんよ〜、(お母さんも)神様に手を合わせてくださいね〜」
すると、お母さんも状況を察してくださって手を合わせてくださいます。
実は、神様に来ていただく前に、あらかじめ生徒ちゃんに気づかれないように、そーっとサイコロを自分のポケットにでも忍ばせておきます。
私は、いつでもサイコロを出せるように譜面台の後ろ(手の届く場所であれば、どこでもよい)にサイコロを置いてあります(※生徒ちゃんにバレないように気をつけましょう)。
そして、生徒ちゃんが手を合わせているときに、今度はこう言います。
「あ!(スゴくびっくりした感じで)、こんなところにサイコロが!(サイコロを取り出す)神様ありがとうございます〜、音楽の神様が“これで練習回数を決めなさい”って言ってるわよ(ちょっと神妙な雰囲気で)」
あくまで、教室の奥のほうの天井あたりに音楽の神様がいる想定です。
そして生徒ちゃんに、私が神様とお話をしているかのように思ってもらうことが大切です。
このとき、先生には“迫真の演技”が求められます(笑)。
サイコロを生徒ちゃんに振らせてあげる
音楽の神様のいる・いないに関わらず、生徒ちゃんとしてはサイコロがあったら振りたいものなんですよね。
なので「音楽の神様が“これで練習回数を決めなさい”って言ってるわよ」なんて言えば、ガゼンはりきってサイコロをふっちゃいます。
そして、生徒ちゃんがサイコロを振る前には、鈴をシャン♪シャン♪シャン♪と鳴らしてみたり(神社でお祓いをしてもらうときのような雰囲気を演出しています:笑)。
こうして、サイコロを生徒ちゃんに振ってもらってサイコロが出た目の数だけ練習するよう伝えるんですね。
それが以下です。
(サイコロの目が3だった場合)
「あ!3回が出ました〜、神様ありがとうございます〜。1週間後(ちゃんと3回練習して来てくれること)楽しみにしているね。神様のお告げだからね、3回練習したらシール貼ってね。守らなかったらバチが当たっちゃうからね、(なんて、ちょっと怖がらせてみたりすることも:苦笑)。神様ありがとうございました〜。じゃあ、練習しましょうね。」
この一連のやりとりにかかる時間は、ものの1分ぐらいです。
だけれど、音楽の神様に来ていただくと、そこから集中して練習しはじめるんですね。
ただ、私の本音としては実際にサイコロの出た目の数だけ練習してこなくても、そのとき話を聞いてくれてはじめよりも集中してレッスンができれば御の字だと思っています。
でも、だいたいサイコロの出た目の数だけ練習してきますね。
先生も生徒ちゃんもレッスンが楽しくなるように
私としては、生徒ちゃんもやる気の出ない日があるのは仕方ないと思うんです。
やる気のあるときは、どんな言い方をしても聞いてくれます。
でも、生徒ちゃんだって人間なのでそうじゃないときもあります。
こちらが、生徒ちゃんの態度に対して文句を言うと耳をふさぐときもあります。
そういうときには、どうすればいいか?
怒ったって、自分もイヤになるだけ。
だから、自分も生徒ちゃんも楽しくなる方法を見つけようと考えることにしたんです。
そこで、音楽の神様に来ていただいて自分も生徒ちゃんもお互いがイライラせずに楽しくレッスンができるように工夫しています。
ちなみに“音楽の神様”を、12月には“サンタクロース”に来てもらうこともあります。
ただし、この方法は“ここぞ!”というときにだけ使ってください。
毎回、音楽の神様に来ていただいていたら、生徒ちゃんも「ウソだ」と言って信じようとしなくなります。
また、いくらレッスンのためとはいえ、私の都合で神様を利用することで先生ご自身にバチが当たっても困りますよね。
さらに、音楽の神様が通用するのは、だいたい幼稚園〜低学年ぐらいまで(導入期)の生徒ちゃんまでですね。
ちなみに、このようなことを守りながら音楽の神様に来ていただくようになると、生徒ちゃんが神様が来ることを気にするようになるんですね。
生徒「今日は、神様来ないの?」
私「それは、先生が決めているわけじゃないからわからないの。どこで、見ておられるかわからないのよ」
こんなやりとりをしていますと、生徒ちゃんたちにしてみれば神様がいつ出てくるかわからないので、いい緊張感を持ってレッスンするようにもなります。
これも、音楽の神様効果ですね(感謝)。
子どもは、興味を持ってくれれば聞く耳を持つ
大切なことは「ピアノに興味を持たせてあげる」ということです。
くり返しますが、生徒ちゃんだって人間ですのでやる気が出ない日もあります。
でも、そんな日でもこちらの働きかけに興味を持ってくれれば聞く耳を持ってくれます。
そして、こちらに耳を傾けてくれたことをきっかけに、ピアノに集中するようにもなります。
音楽の神様やサンタクロースは、そのための手段に過ぎません。
ちなみに、私がどうして音楽の神様を思いついたかというと、それは私自身の小さいときの経験がきっかけです。
(私が小さいとき)おばあちゃんに「神様がちゃんと見てるよ」なんて言って、私に大切なことを言い聞かせてくれたていたことを真似たんです。
バリエーション:ポイント5倍デー(笑)
先ほどもお伝えしましたが、音楽の神様は頻繁に来ていただくものではありません(苦笑)。
そして、あくまで目的は生徒ちゃんに興味を持ってもらうことです。
ですので、音楽の神様以外にも生徒ちゃんが興味を持つきっかけのバリエーションがあると、対応力が向上します。
そこで、バリエーションのひとつとしては「ポイント5倍デー」があります。
以下のような感じです。
「今日は、キラキラシールポイント5倍!あなた本当ラッキーだったわね、雨の中来てよかったね。今日、花丸もらえたらね、シールがいつもより5倍もらえるのよ!でも、勝負は、一回よ。」
ぜひ、先生は心から「ラッキーだったね!よかったね!」というお気持ちで、生徒ちゃんに語りかけてあげてください。
そうすると、目をキラキラ輝かせてきます。
そして、集中していい音楽を奏でるようになります。
とりわけ、キラキラシールポイント5倍デーは、女子の生徒ちゃんに効果的です。
ピアノ指導に必要なのは、○○力
おそらく、課題曲が上手に引けたときにシールを貼ってあげるといった方法を取り入れていらっしゃる先生は、たくさんおられると思うんですね。
そのうえで大切なのは、私は“やり方”だと考えています。
正直な気持ちを申し上げると、今どきの子どもたちはシール1枚ではよろこばなくなってきています。
そして、課題曲が弾けたらシールがもらえることが当たり前になってきていたりもします。
それどころか、すでにシールをたくさん持っている子もいます。
だから「シールなんていらない」という反応をする子がいたりすることも事実です。
そこで、必要になるのが“演出”です。
シールを使うにしても「今日は特別よ!」、「あなたラッキーね!」と特別感を演出することが大切です。
実のところ、私が教室で生徒ちゃんにあげているシールはどこでも買えるもので、けっして特別なものではありません。
だけれど、演出によって目がキラキラ輝いていい演奏ができたり、お家で練習したりもするようになります。
大切なのは演出力であり、何を使うか?ではなく、どう使うか?なのだと思います。
ひとりでお片づけできましたよ
子守唄が課題曲のときには、こんなこともします。
「お母さんが、気持ちよさそうに眠れたら子守唄(課題曲)は、合格ね」
私がこんなことを言うものですから、レッスンに付き添ってくださっているお母さんも協力を余儀なくされています(笑)
そして、生徒ちゃんが弾いているうちに、お母さんも眠ったフリをしてくださるんですね(感謝)。
(演奏後、ひそひそ声で)「お母さん眠っているからね、お母さん私が起こしておくからかばんに(教材を)片づけてね。自分でやってみて、お母さんビックリするよ!」(小さい音で)ジャン♪ジャン♪ジャーン♪(レッスン終わりの礼のときの音を弾く)
そして、お母さんを起こしてあげて「今日は、ひとりでお片付けできましたよ〜。一人でできるなんてすごいわね〜。これは、お母さんもよろこぶね〜。おうちでもやってるんだね〜」なんてお母さんとお話します。
当然、生徒ちゃんも聞いていますので、そんなふうに言ってあげると機嫌よく帰るんです。
ずっとピアノを好きでいてほしいから
以上のように、とりわけ導入期のレッスンでは“いかに集中力を発揮させるか?”に、私は注力しています。
その結果、先生ご自身ももっと楽しくレッスンができるようになります。
やっぱり、何事もやるなら楽しんでやりたいじゃないですか?
そして、ピアノも楽しんでやっていれば、のちのちコンクールなどでもがんばって練習をやり抜くようになります。
また、今のところ結果も出ていると感じています。
私は「好き」が根底にあれば、生徒ちゃんたちはいつまでもピアノをつづけてくれると信じています。
何より、生徒ちゃんにはピアノをずっとつづけてほしいと思うんですね。
そのためには、指導法も大切ですが同じくらい演出力も大切だとも思います。
みんなの「好き」のために、これからも私は演出力を磨き、さまざまなレッスンテクニックを開発して行きたいと思います。
ぜひ、今回ご紹介した「音楽の神様」や「ポイント5倍デー」を、試してみてくださいね。
きっと、レッスンが楽しくなること間違いナシです!