「先生、補講レッスン受けたいです」
コンクールが迫ってくると、このように補講レッスンを申し出る生徒が毎回出てきます。
ただ、費用もかかることですので、私としては「お母さんと相談してね」と伝えて、その日は帰しています。
もちろん、補講レッスンを希望しない生徒もいますが、年々、生徒本人が補講を希望するケースが増えていると感じます。
私なりに、その理由を分析すると2つの要因が浮かび上がってきました。
それが、以下です。
- 1.音楽の楽しさにハマりはじめている
- 2.以前のコンクールで入賞できたので、また入賞したい
ひとつの曲を深く理解し演奏する
コンクールでは、ひとつの曲を深く時間をかけて学ぶことになりますよね。
通常のレッスンであれば、課題曲はだいたい1ヶ月以内に弾けるようになり、つぎの課題曲へと移っていきます。
また当スクールの場合、通常のレッスンではコンクールほど1音1音にこだわって演奏するよう指導をしていません。
それに対して、コンクールに向けては3ヶ月くらいかけて同じ曲を弾きつづけることになります。
そのため、いくらコンクールとは言え、生徒は集中がつづかなくなることもあります。
ですので、指導者は手を変え品を変えレッスンをしないといけませんね。
“音楽の楽しさ”に出逢う
ちなみに、コンクールであっても通常のレッスンでの課題曲であっても、生徒の多くは暗譜できるようになるまでは一生懸命練習をします。
でも、弾けるようになるとだんだんと飽きてきてしまって練習しなくなっちゃう傾向がありませんか?
ですが、生徒がコンクールで入賞したいのであれば、人に感動を与えられるレベルの演奏でなくてはいけません。
そのためには、テクニックだけじゃなく曲の本質にまで到達しないと入賞は難しいでしょう。
また、曲の本質に到達したとしても、他の出場者がより優れた演奏だったり、審査員のお眼鏡に適う演奏でなければ入賞できなかったりもします。
そのためには、ただ暗譜で弾けるだけでなく”さらなる曲づくり”が求められます。
ですが、曲の1音1音にこだわって表現力に磨きをかける経験をすることで、ピアノが弾けることのその先にある“音楽の楽しさ”に出逢うことができます。
そして、その楽しさを知ることで、より一層ピアノにハマるのだと思うんですね。
小さな成功体験を積み重ねよう
また、補講レッスンを希望する生徒の多くが、以前のコンクールで入賞しています。
一生懸命練習をして、自分の表現力に磨きをかけ、その先につかんだ入賞は何にも変えがたい充実感や達成感があります。
そのような「成功体験」を経験している生徒は、その気持ちをまた味わいたくて補講レッスンを受けて練習をしています。
さらには、コンクールに出場することで他の子どもたちの演奏を聴いていますので、客観的に自分の立ち位置やレベルを認識しているんだと思うんですね。
そのため、どのくらいの演奏力が必要か?をわかっているので「補講レッスンをしたい」と、自分から申し出るのだと思います。
子どもたちの主体性をピアノが育んでくれる
私としては、生徒が主体的にピアノに向き合い、自分の意志を伝えてくれることがうれしく思います。
そして、子どもたちの主体性をピアノが育んでくれていることも。
そのためにも、講師である私や保護者の方を含めたまわりの大人たちは、子どもたちに「ピアノが楽しい、音楽が楽しい」と感じさせてあげられるはたらきかけが必要だと思います。
そして、たとえ小さなことでも成功体験を経験させてあげることも欠かせません。
「上手に弾けるようになったね」、「今日の演奏は素晴らしかったよ」こうした言葉がけが、子どもたちに自信とピアノが楽しい気持ちをもたらしてくれます。
ピアノに夢中に取り組む生徒たちを、これからも最適に教え導いてあげたいと思います。